2016年08月13日

国芳・国貞展に行ってきました(神戸市立博物館)

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酷く暑い日が続いております、皆様お元気でしょうか。身体の強からぬ私は、当然のように暑さにやられてバテております。が、そんな状況にあっても、出掛けなければならない展覧会がありました。それは、そう、「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」展です!我が家から歩いてすぐの、神戸市立博物館で開催されているこの展覧会に、先日出向いて参りました。

私が行った日は平日だったにも拘わらず、それはもう結構な人出で、浮世絵・錦絵の人気が高まっていることを実感しました。もちろん、若い方もたくさんいました。しかし、冷房の効いた館内で、国芳と国貞の傑作群を楽しめるなんて、本当に贅沢なことです。

今回、私の一番の目当ては「讃岐院眷属をして為朝をすくう図」でした。少し前にテレビ東京の「美の巨人たち」でも特集されていたこの絵、実物を見るのは初めてなのです。実際に眺めた感想は・・・いやもう、溜め息しかでない圧倒的な作品と言うしかありません。あの強烈なストーリーを、この一枚(三枚続きですが)に凝縮する手腕。私は、一切の言葉を失います。国芳、ほんとにすごい!(言葉を失っていない)。

「讃岐院眷属をして為朝をすくう図」で特に好きなのは、モノクロで表現された烏天狗と、おぞましいほどに迫力のある大鰐鮫です。前者の表現は、当時存在した(そして今はもう失われてしまった)達人クラスの彫師、刷師の腕もあってのことでしょう。後者の大鰐鮫は、一見怪物ですが、これには忠死した為朝の家臣の魂が乗り移っているんですよね。詳しいストーリーの紹介はできませんが、国芳の筆は、この感動的な場面を破壊的なほどの迫力で表現しています。

感動した帰りには、物販コーナーで「歌川国芳根付」のガチャガチャを2回やりました。1回400円なので、なんとも贅沢なガチャガチャです。でも、欲しいなあと思った「踊る猫又」と「猫骸骨」を運良くゲットできました。幸せやね。

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まだ体験していない皆様には、「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」展、全力でお薦めしておきます。私は国芳が贔屓なんですが、繊細な国貞も見応えたっぷりですよ。

森田健司
posted by km at 00:00| 雑談雑記

2016年08月04日

麗しき門前仲町の夜

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先日、とある勉強会に講師としてお呼ばれして、東京に行ってきました。その際、門前仲町に一泊したのですが、その町並みの素晴らしさに、心から感動させられました。この門前仲町こそ、私の追い求めていた理想の「東京の下町」です。

夜にふらふら歩いていると、たくさん並んでいる居酒屋や寿司屋から、なんとも楽しげな話し声が聞こえてきて、思わず入店してしまいそうになりました。お祭りが近いからなのか、常設なのかわかりませんが、屋台もたくさん出ていて、りんご飴やカステラ焼きや、「大阪焼き」(関西人は「何それ?」となりますが、お好み焼きの仲間みたいなものです)などが売られていて、眺めるだけでも心が豊かになりました。

そして、なんといっても富岡八幡宮の美しさ。夜に照明で浮かび上がったその姿は、もう感嘆するしかありません。美しいのはもちろん、人々の生活に寄り添うような温かみもあって、そこに何より惹かれました。門前仲町には、今も江戸の空気が残っているようにさえ感じられました。

今度は、もっとじっくりと町の雰囲気を味わいに行きたいと思っています。

森田健司
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2016年05月18日

雨蛙と国芳

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この時期、大学の研究室にいると雨蛙の鳴き声が聞こえてきます。

と言うと、何とも優雅な感じがしますが、実際に僕はこの環境に大変心地良さを感じています。幼少の頃から、雨蛙の鳴き声、あの「クエッ、クエッ」という控え目で、しかしながら個性も自己主張もある声が大好きなんです。実に可愛らしい。

基本的に、雨蛙という生き物はあらゆる点で優れた存在です。声もそうですが、大きさも色も造形も素晴らしい。それはもちろん主観でしかない訳ですが、成人男性の親指第一関節ぐらいしかないサイズ感、目に優しい薄緑の体色、そしてお腹がプクッと膨らんだフォルム。嗚呼、なんと良くできた生き物か。たまらんわ。

雨蛙は昔から日本で愛されてきたので、絵として描かれることも多かったようです。浮世絵などを見ていても、雨蛙は結構見付かります。

江戸時代の絵師で、雨蛙を好んだ人というと、僕の中では一番に歌川国芳が出てきます。裏の田圃で毎日のように雨蛙を掬ってきて、自宅の池に放していたという彼は、愛情の籠もった雨蛙を描いています。「金魚づくし」に見られる国芳版雨蛙は、悪戯好きそうで、実にお茶目です。

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僕の一番好きな国芳版雨蛙は、次に貼る棒を持った彼(彼女?)です。

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この「金魚づくし」シリーズには、大変思い入れがあるので、また時間の余裕のあるときに語りたいと思います。

国芳と言えば、「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」展が、来月、僕の住んでいる神戸にもやってくるそうです。期間は6月18日〜8月28日とのこと。猛烈に楽しみです。

森田健司
posted by km at 00:00| 雑談雑記