2021年09月17日

テンミニッツTVさんでご紹介いただきました

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ここ数日、一気に気温が下がってきましたが、皆様如何お過ごしでしょうか。私はといえば、遂につくつく法師の声も絶えてしまって、過ぎ去りし夏を想って感傷的になったり、そうでもなかったりしております。

ところで。日頃作成者に忘れ去られている感のある当ブログが、僅かな期間で更新されることになったことには、事情がございます。拙著『山本七平と「仕事の思想」』(PHP研究所)が、早くも紹介いただくという栄誉に浴したのです。テンミニッツTVさん、有り難うございます。大変好意的かつ丁寧に論じて下さっているコラムです、是非ご覧下さい。

『山本七平と「仕事の思想」』から日本人の働き方を見直す(テンミニッツTV)

現在の私は、正三に関する新しい論文を緩やかに準備中です。『山本七平と「仕事の思想」』を書いたことで、今までと少々異なる正三観が得られたような気がするので、それを反映したものにできれば、なんて考えておる次第で。

森田健司
posted by km at 00:00| 御知らせ

2021年09月09日

『山本七平と「仕事の思想」』(PHP研究所)などのお知らせ

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このような状況でありますから、それはもう今夏において愉快な想い出などはほぼ無いわけです。しかしながら、幸いなことに一つだけ、麗しい記憶になっている出来事がございましたあります。それは何かと言いますと、某テレビ番組の視聴者プレゼントに当選したということなのですね。そのプレゼントというのが凄い、何と烏賊が二杯なのです。烏賊?はは、そのような海鮮など近所のスーパーマーケットに売っとるよね、とお思いの方もおられることでしょう。しかし、その認識は正しいとは言い難い。私が当選した烏賊というのは、あの白烏賊なのです。旬の白烏賊・・・その美味しさを知る者は、人生の勝者と断言して良いでしょう(知らない者が敗者とは申しておりませんので、お怒りにならぬよう)。かくして、自宅に届いた旬の白烏賊は、刺身、唐揚などにして食みました。めっさうまい。某テレビ番組に感謝する次第です。

烏賊、もとい、以下、幾つかのお知らせを記します。

1. 『山本七平と「仕事の思想」』(PHP研究所)発売中

一言で申し上げると、これまで出版させていただいた一般書の中でも、最も思い入れのある一冊になりました。内容は、タイトル通り、評論家として八面六臂の活躍をされた山本七平さんの「仕事の思想」を、私なりにまとめ、補強し、一貫した論として形成し直したものです。

山本さんに関して書かれた本は、既に結構な数が出版されています。しかし、本書の内容は、他のいずれの本とも被るものではないと思います。山本さんは、ベンダサン時代の比較文化論や、「空気」の研究などが極めて有名ですが、本書は、彼が生涯にわたって考究しながら、一貫した議論としては未完成だった「仕事」の思想史を論じたものです。具体的には、『勤勉の哲学』、『日本資本主義の精神』、『近代の創造』などで提示された日本における「仕事」の思想史を、私の視点から整理、描出しました。

日本における「仕事の思想」に関して、山本さんが論じたものでは、鈴木正三と日本資本主義の精神に関するものが最も有名、かつ影響力を持ったものと思われます。これについては、多くの本や論文が言及しています。しかし、この話に関して、内在的批判として有効性を持つものはほとんどみたことがありません。それは、山本さんの正三論は、不干斎ハビアンの思想分析の延長線上にあるもので、彼の正三論をウェーバー的な議論の中で理解し、論じることは、全く正しくないからです。また、彼の正三論は、石田梅岩と石門心学の話と密接に関連するもので、こちらにも触れなくては話になりません。

また、山本さんの石田梅岩・石門心学論は、『近代の創造』における渋沢栄一論に接続されています。このことも、今に至るも全く論じられていません。また、山本さんの渋沢論は、彼の江戸時代観を知る上でも欠くべからざるものであり、今こそ正しく理解されるべきものと思っています。

本書は、あえて単純化すれば(そして身の程を知らない表現をするならば)、山本さんの「不干斎ハビアン・鈴木正三―石田梅岩―石門心学―渋沢栄一」という思想史の議論を、私なりに完成させる試みでもあります。わずか240ページほどの本ですが、これまでの石門心学研究の全てを注ぎ込むつもりで書き上げました。石門心学を取り扱った章では、山本さんの議論を補強する材料として、増穂残口などの(あえて平田篤胤の表現を借りれば)俗神道からの影響についても、検討、考察しています(このテーマについては近いうちに、一本の論文としてまとめるつもりです)。

文章や表現は可能な限りわかり易くあることを心掛けましたが、内容については専門書にも決して負けないものになっていると確信しています。山本さんの思想史の議論のみならず、広く江戸思想史に関心をお持ちの方に、是非ともお読みいただきたいと思っています。宜しくお願いします。

2. 『明治維新 偽りの革命』(河出文庫)発売中

早速嬉しいご感想など、届いております。お読み下さった皆様、有り難うございます。『明治維新という幻想』に比べると、風刺錦絵の数も増えておりますので、それだけでも楽しんでいただけるのではないか、と思っております。まだたくさん売ってありますので、書店さんなどで一度お手に取っていただければ幸いです。

3. 石田梅岩の現代語訳本について

現在、梅岩の著書『都鄙問答』・『斉家論』と、『石田先生事蹟』の現代語訳本を作ろうと模索中です。私としては、これを自費出版で出したいと思っています。「現代語訳・原文・影印」の三部構成に、詳細な注釈と解説を付したものが理想です。現代語訳は終わっているので、あとは注釈と解説を地道に作成するのみです。

梅岩の「厳密な現代語訳本」は、おそらく商業ベースに乗せるほど需要はありませんし(中公文庫から『都鄙問答』の現代語訳が単行本として出てますので、やや不正確な箇所もありますが、梅岩のことを大まかに理解するには彼の本で良いかと思っています)、またそれ以上に、適当に商品として消費されていくのは望むところではないので、手売り中心で、本当に関心のある方々にお届けしたいと思っています。その際に、自費出版が最善と結論付けました。進捗は、可能な限りこのブログでも告知していきます。

森田健司
posted by km at 00:00| 御知らせ

2021年08月15日

『明治維新 偽りの革命』(河出文庫)発売中

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いつも通り当ブログでのお知らせが遅くなってしまいましたが、8月5日に新刊が発売されました。

森田健司『明治維新 偽りの革命』(河出文庫)

新刊とはいっても、実は2016年に出した『明治維新という幻想』(洋泉社)の増補改訂版です。しかしながら、その増補改訂が相当なもので、ほとんど全編に手が入っていることもあり、気持ち的には全く違う本です。戊辰戦争を中心としていわゆる明治維新を取り扱ったものですが、細かい説明が増え、また戊辰戦争関連の風刺絵の数も多くなっています。

なお、最終第5章は完全書き下ろしで、ここが書き手としては最も読んでいただきたい箇所です。章、及び節のタイトルを貼り付けておきます。

第五章 最大の思想的問題「攘夷」の行方
第一節 新政府の「師」玉松操の慨嘆
第二節 「討薩檄」が指弾した新政府の攘夷
第三節 神戸事件と堺事件――新政府の卑屈な外交
第四節 濫用された大国隆正の「大攘夷」思想

思想史学を専門とする者として、明治維新について書くならば、いつか玉松操と大国隆正については言及したいと思っていました。今回、河出書房新社さんがこのような加筆をお許し下さったことで、その願いが叶った形です。また、神戸に住む者として、神戸事件について少しでも記せたことも嬉しく思っています。第5章が付加されて、この本は本当の意味で完成しました。宜しければ、一度ご覧下さい。

森田健司
posted by km at 00:00| 御知らせ