
今年の秋を一言で表現するならば、おそらく「亀虫」ということになりましょう。何処に行っても、道路には見目麗しい緑色の彼らが転がっていました。それどころか、私の住処にも勢力を伸ばしていたようで、毎日窓の外には相当数確認できました。自然の恐ろしさと面白さを感じさせられます。あ、申し遅れましたが、今年の関西では亀虫の大量発生という事象が生起しておりました。
ところで、今夏から今秋にかけて彼方此方に姿を現した亀虫は、「ツヤアオカメムシ」と名付けられた連中であるそうで、ごく個人的な感性から述べると、彼らはあんまし怖くありません。しかし、毎年私の生活圏で結構な数を目にする「キマダラカメムシ」は、なんだか恐ろしく感じるのです。大きさの差でしょうかね。あと、彼らの「だるまさんが転んだ」を連想させる動きも怖い。なお、彼らの名称を漢字で表記すると、黄斑亀虫となり、より豪壮に思えます。表記によって印象は大いに変わるものですね。
1. NHK BS「英雄たちの選択」(2023年12月13日放送)に出演しました
今年はほぼ全てのテレビ出演オファーを辞退しておりましたが、この番組だけお邪魔しました。テーマは「幕末最強!庄内藩の戊辰戦争〜徳川四天王・酒井忠次の遺伝子〜」です。とても学ぶことが多く、楽しい収録でした。プロデューサーさん、ディレクターさん、メイクさん、その他スタッフの皆様に心より感謝致します。
なお、放送日はNHK BSが2023年12月13日、NHK BSP4Kが2023年12月6日でした。4Kですよ、すごいな(全然わかっていない者の発言)。
2. 朝日新聞「今年の3点」に『増補新版 現代語訳 墨夷応接録・英国策論』
皆様は12月23日(土)付の朝日新聞をご覧になられましたでしょうか。彼の新聞の読書面にて、朝日新聞書評委員の「今年の3点」という企画が行われておりますが、そこに私が編訳・校註・解説を手掛けた『増補新版 現代語訳 墨夷応接録・英国策論』の名が挙げられているのです。しかも、3点に加えて下さったのが、保阪正康さんなのです。大袈裟ではなく、私は失神しかけました。学生の頃の私に、「将来貴方の出版した本が、保阪さんによって今年の3点に選ばれますよ」と伝えたら、失神しかけるどころか、失神したことでしょう。本当に有り難うございます。真摯に近・現代史を再考されてきた保阪さんに選んでいただけることは、この上ない栄誉です。これはもう、賞をいただいたものと勝手に解釈したいと思います。
講評で特に嬉しかったのが、「サトウ著『英国策論』の訳文もわかりやすい」というお言葉です。悶えながら、あれでもないこれでもないと訳出した甲斐がありました。『英国策論』の日本語版は、文意が捉えにくい箇所も多く、わかりやすく、しかも現代の日本語に移すのは意外に骨の折れる作業でした。「わかりやすい」ものになっているとすれば、これ以上嬉しいことはありません。
3. 『異国人たちの江戸時代』+『増補新版 現代語訳 墨夷応接録・英国策論』発売中
そして、『異国人たちの江戸時代』も発売中です。第一印象で、とにかく分量がすごいという感想をたくさんお伝えいただいたこの本ですが、もちろん内容にも自信あります。江戸時代の日本見聞録を片っ端から読んできた私が、全力を傾注して完成させた本です。『増補新版 現代語訳 墨夷応接録・英国策論』共々、在庫のあるうちにお買い求めいただければ幸いです。
なお、『異国人たちの江戸時代』は、ただ見聞録を紹介した書ではなく、これまでの江戸時代観に修正を迫るものとして仕上げました。特に、江戸時代初期と中期の記述に、注目願えれば嬉しく思います。江戸時代は、何らかの「完成形」に向かって疾駆した時期のように(無意識理に)考えられることがありますが、私はそれに違和感を持っています。その違和感の理由も、本書で明示できたと自負しています。
森田健司